
最終更新日:2026年7月6日
請求書の電子化を進める手段のひとつとして、AI-OCRの活用が注目されています。取引先ごとに書式が異なる請求書を自動でデータ化できるため、手入力作業を大幅に削減できる点がメリットです。
しかし、「実際の認識精度はどれくらいか」「どのように導入すればよいのか」といった疑問を持つ経理担当者の方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、AI-OCRの仕組みや従来OCRとの違い、請求書をデータ化する具体的な手順、導入メリット、そして精度を高める方法について解説します。
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目次
- AI-OCRとは、AIが持つ自動かつ深く何度も学習する仕組みを搭載したOCRのこと
- AI-OCRと従来のOCRとの違い
- AI-OCRが高精度を実現できる仕組みとは?
- AI-OCRで請求書をデータ化するメリット
- AI-OCRが向いている企業・向いていない企業
- AI-OCRよりデジタル方式(DtoD)がおすすめな企業とは?
- AI-OCRで請求書をデータ化する方法
- 1. 請求書を受け取る
- 2. システムにアップロードする
- 3. 内容を確認・補正する
- 4. 会計システムに連携する
- AI-OCRの精度を上げる3つの方法
- 入力データの品質改善
- AI学習機能の活用
- 人的チェックとの組み合わせによる精度担保
- AI-OCRを活用して、請求書処理の効率化を実現しよう
- よくあるご質問
- AI-OCRの認識精度は一般的にどれくらい期待できますか?
- AI-OCRと従来OCRの違いは何ですか?
- AI-OCRのデメリットはありますか?
AI-OCRとは、AIが持つ自動かつ深く何度も学習する仕組みを搭載したOCRのこと
AI-OCRは、AIの深層学習(ディープラーニング)や機械学習によって文字・レイアウトを認識し、精度を自動的に高める技術です。
AI技術を持たない一般的なOCRでは、シンプルな文字ほど誤認率が高くなる傾向がありましたが、AI-OCRは大量の請求書データを学習することで、手書き文字やさまざまな書式にも対応できます。
AI-OCRの最大の特徴は、使えば使うほど精度が上がっていく点です。同一の取引先から繰り返し請求書を受け取ることで、AIがそのフォーマットを学習し、認識率が向上します。
手入力や転記作業が不要になるだけでなく、ヒューマンエラーの防止にも大きな効果を発揮します。

AI-OCRと従来のOCRとの違い
AI-OCRが従来のOCRと大きく異なるのは、学習データをもとに多様なフォーマットに柔軟に対応でき、処理件数が増えるほど認識精度が向上していく点にあります。
特に、取引先が多い企業やフォーマットが統一されていない環境では、AI-OCRの優位性が顕著に現れます。
AI-OCRと従来のOCRの違いは以下の表のとおりです。
- ■AI-OCRと従来OCRとの比較表
-
比較項目 AI-OCR OCR フォーマット対応 多様なフォーマットに対応 固定テンプレートのみ 手書き文字 学習により対応可能 対応困難 精度 使うほど向上 変わらない 適している環境 取引先が多く書式が多様な環境 書式が統一された環境
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AI-OCRが高精度を実現できる仕組みとは?

AI-OCRが高い認識精度を実現できるのは、深層学習による特徴量の自動抽出という仕組みによるものです。文字の形・サイズ・フォント・レイアウトといった多様な要素をAIが自動的に学習することで、書式が統一されていない請求書でも項目を正確に識別できます。
同一の取引先からの帳票を繰り返し処理するほどAIの理解が深まり、最初は誤認識しやすかったレイアウトにも徐々に対応できるようになるのが特徴です。
また、AIとオペレーターの組み合わせによってさらに精度が向上します。多くのAI-OCRサービスは「AIによる自動読み取り→オペレーターによる確認・補正→納品」というフローを採用しており、AIが判断しにくい箇所を人が補正し、そのフィードバックをAIが再学習する仕組みになっています。
AI単体では100%の精度を実現するのは難しいですが、こうした人との協働によって、実用水準の高い精度を継続的に維持できます。
一方で、ベンダーが公表する精度数値はあくまでも参考値です。
実務で扱う帳票は条件がさまざまであるため、導入前に自社の実際の帳票で実証を行い、現場レベルでの精度を確認することが重要です。
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AI-OCRで請求書をデータ化するメリット
AI-OCRで請求書をデータ化することで、経理業務のさまざまな場面で効率化が期待できます。AI-OCRで請求書をデータ化する主なメリットは以下のとおりです。
- ■AI-OCRで請求書をデータ化する主なメリット
-
メリット 内容 入力・転記工数の削減 取引先ごとに異なるフォーマットをAIが自動で読み取るため、手入力・転記作業を大幅に削減できる 人的ミスの防止 - ・手入力による打ち間違いや転記ミスをAIによる自動読み取りで根本的に減らせる
- ・読み取りが不確実な箇所を自動フラグ立てする機能を持つサービスでは、確認が必要な箇所だけに集中できる
電子帳簿保存法への対応 - ・データ化した請求書はスキャナ保存要件への対応を効率化できる
- ・紙の原本廃棄も可能になり保管スペースの削減につながる
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AI-OCRが向いている企業・向いていない企業
AI-OCRの導入が効果的かどうかは、企業の状況によって異なります。導入前に自社の条件を整理しましょう。
- ■AI-OCRが向いている企業・向いていない企業
-
項目 向いている企業 向いていない企業 取引先数 多い 少ない 請求書受取量 月100件以上など大量の場合 月数件程度の少量の場合 取引先の電子化対応 紙・PDFでの対応が多い すでに電子請求書での対応が可能 IT体制 クラウドシステムの活用に慣れている IT担当者がいない・システム導入が困難
なお、請求書の通数が特に多い企業には、後述するデジタル方式(DtoD)がさらに効果的な場合があります。
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AI-OCRよりデジタル方式(DtoD)がおすすめな企業とは?
「取引先がすでに電子請求書に対応している」もしくは「これから対応を依頼できる環境にある」企業には、AI-OCRよりもデジタル方式の導入がおすすめです。
デジタル方式とは、発行側と受領側がシステム間で構造化データを直接やりとりする方式のことで、DtoD(Data to Data)とも呼ばれます。
AI-OCRのように「紙やPDFを読み取る」工程がそもそも存在しないため、認識誤りがゼロで補正作業も不要、データの即時連携が可能という点でAI-OCRと根本的に異なるのが特徴です。
DtoDが向いている企業・向いていない企業の特徴は以下のとおりです。
- ■DtoDが向いている企業・向いていない企業
-
項目 向いている企業 向いていない企業 請求書受取量 月100件以上など大量の場合 月数件程度の少量の場合 請求書発行量 発行通数が多い 発行量が少なく現状運用で対応可能 取引先の電子化対応 すでに電子請求書での対応が可能、または依頼できる環境にある 紙・PDFでの対応が多く、移行依頼が困難 精度・正確性へのこだわり 転記・読み取りミスをゼロにしたい AI-OCRの精度水準で許容できる IT体制 クラウドシステムの活用に慣れている IT担当者がいない・システム導入が困難
なお、DtoDはすべての取引先が電子請求書に対応できることが前提となるため、既存の紙運用が残る企業では一気に移行するのが難しい場面もあります。
その際は、DtoDを基本としながら、紙やPDFが残る取引先にはAI-OCRを組み合わせて対応するのが、現実的なアプローチとなるでしょう。受取方法が多岐にわたり集約が難しい場合は、受領代行サービスの活用も選択肢のひとつです。
※DtoDの詳細は下記の記事もご覧ください。
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AI-OCRで請求書をデータ化する方法
AI-OCRで請求書をデータ化するには、AI-OCR機能を備えたクラウドサービスやシステムを利用します。
ここでは、請求書をAI-OCRでデータ化する一般的な手順を解説します。

1. 請求書を受け取る
取引先から請求書を受け取る際、その形式によって後工程のAI-OCR処理への準備が異なります。
電子請求書はそのままAI-OCRで処理できますが、紙の請求書はスキャナでデータ化、FAX受信データはPDFなどに変換してからAI-OCRにかける必要があります。
受領方法が多様なほど前処理の手間が増え、後工程の精度も不安定になりやすい傾向があるのを知っておくことが大切です。
可能な範囲で取引先にメール添付やテキスト埋め込みPDFでの送付を依頼することが、AI-OCRの精度を安定させるための最初の一手となります。
2. システムにアップロードする
受け取った請求書データをAI-OCRサービスの管理画面にアップロードすると、自動解析が始まります。
サービスによっては、メールの受信ボックスと連携して添付ファイルを自動で取り込んだり、指定フォルダにファイルを格納するだけで処理が開始されたりするものもあるので、請求書の受領件数によって適したサービスを検討しましょう。
AI-OCRはアップロード後、「取引先名」「発行日」「金額」「税率」「明細」などの項目を自動抽出します。取引先ごとに書式が異なる場合でもAIが自動判別するため、事前のテンプレート設定は原則不要です。同一取引先の請求書を繰り返し処理するほどAIが学習し、認識精度は使うほど向上していきます。
3. 内容を確認・補正する
AI-OCRが出力した読み取りデータを担当者が確認し、誤認識や読み取り漏れがあれば修正します。
「一から入力する」から「AIが出力した内容を確認・修正する」作業に変わるため、手入力に比べて大幅な工数削減が実感できます。
多くのサービスでは、AIが認識しにくい箇所を「低確信度」として自動フラグ立てする機能が備わっており、担当者は全件を目視するのではなくフラグが立った箇所だけを重点確認するだけで済むでしょう。
また、修正・補正したデータをAIにフィードバックする仕組みにより、同じ取引先の請求書は処理を重ねるごとに精度が向上していきます。
4. 会計システムに連携する
確認・補正が完了したデータは、会計システムや請求書管理システムへAPI連携・CSVエクスポートなどを通じて自動的に取り込まれます。「AI-OCRで読み取り→会計システムへ転記」という二重入力の手間がなくなるため、転記ミスの防止と工数削減を同時に実現できます。
データ連携後は仕訳・支払処理まで一連の流れでスムーズに進められるでしょう。
最後に残るのが「電子保存」の対応です。AI-OCRで処理したスキャン帳票を電子保存する場合は、電子帳簿保存法のスキャナ保存要件を満たす形式での保存が求められます。
この要件を満たすことで紙の原本廃棄が認められるため、長年の課題だった書類の保管スペース削減を実現できます。
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AI-OCRの精度を上げる3つの方法

AI-OCRは導入するだけで精度が担保されるわけではありません。精度を最大限に引き出すためには、以下の3つのアプローチを組み合わせることが重要です。
入力データの品質改善
AI-OCRの精度は、入力するデータの品質に大きく依存します。まず見直すべきは、スキャンの設定や送付されるPDFの品質です。
スキャン解像度は200~300dpi程度が目安(電子帳簿保存法の最低要件は200dpi)ですが、原本の文字サイズや帳票の複雑さに応じて調整します。過度な圧縮は避け、可能であれば文字情報を保持したPDFや、読み取りやすい形式での送付を依頼すると効果的です。
また、スキャンはカラー設定が推奨(電子帳簿保存法でのスキャナ要件は24ビットカラー以上)であり、高圧縮PDFは図表部分の画質を劣化させるため避けてください。
取引先に対してテキスト埋め込みのPDFでの送付を依頼することが、精度向上のなかで根本的な対策となります。
AI学習機能の活用
同一フォーマットを継続的に読み取らせることで、AIが項目の位置を学習し認識率が向上します。
誤認識データをフィードバックとして学習させる機能を持つサービスを選ぶことで、使えば使うほど精度が上がる運用を実現できるでしょう。
また、取引先に対してAI-OCRが読み取りやすいフォーマットへの変更を依頼することも、有効な手段のひとつです。
具体的には、以下のような変更が認識精度の向上に効果的です。
- <認識精度を向上させる取り組み例>
- ・フォントをゴシック体に統一する
- ・項目名と数値をセットで記載する(例:「発行日:2024年○月○日」のように、ラベルと値を隣接させる)
- ・罫線を明確にし、1セルに複数情報を詰め込まない
人的チェックとの組み合わせによる精度担保
AI-OCRは高精度であっても、理論上100%の認識は不可能です。最終的な精度を担保するには、人的チェックとの組み合わせが前提となります。
ただし、チェックの仕方を工夫することで、業務負荷を最小限に抑えられます。「AIが高確信度で認識した項目はそのまま処理」「低確信度の項目のみ人が確認」という二層構造の運用がその一例です。「一から手入力する」から「AIの出力を確認するだけ」に変わることで、工数削減の効果は十分に見込めるでしょう。
また、エラーが発生した際の修正データをAIへのフィードバックとして活用できる体制を整えると、チェックの手間が精度向上にそのままつながる好循環を生み出せます。
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AI-OCRを活用して、請求書処理の効率化を実現しよう
AI-OCRは、深層学習によって多様な書式の請求書を自動でデータ化できる技術であり、使えば使うほど精度が高まる点が特徴です。精度向上には入力データの品質改善・AI学習機能の活用・補正確認体制の整備を組み合わせることが重要です。
ここでおすすめしたいのが、インフォマートのソリューションです。AI-OCRとオペレーターの組み合わせにより99.9%の精度で請求書を自動データ化できる『BP Storage for 請求書 受取』と、取引先とのデジタルなやりとりを実現する『BtoBプラットフォーム 請求書』の両方を提供しています。
まずAI-OCRで業務効率化を進めながら、段階的にDtoDへ移行するステップも支援可能です。請求書処理の効率化にお悩みの方は、ぜひご検討ください。
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よくあるご質問
Q. AI-OCRの認識精度は一般的にどれくらい期待できますか?
AI単体で常に100%の精度を実現するのは困難ですが、学習を繰り返すことで実用的な高い水準を維持できます。システムと人の確認を組み合わせて99.9%の精度を実現するサービスもあります。ただし、実際の認識率は帳票の条件で変動するため、導入前に自社の帳票を使って実証テストを行うことが重要です。
詳細は「AI-OCRが高精度を実現できる仕組みとは?」をご覧ください。
Q. AI-OCRと従来OCRの違いは何ですか?
従来のOCRは事前に設定した固定フォーマットしか読み取れず、精度も一定のままでした。一方、AI-OCRは深層学習により手書き文字や多様なレイアウトに柔軟に対応できます。最大の違いは、同一の取引先から受け取った請求書を繰り返し処理するほどAIが学習し、使えば使うほど自動的に認識精度が向上する点です。
詳細は「AI-OCRと従来のOCRとの違い」をご覧ください。
Q. AI-OCRのデメリットはありますか?
最大のデメリットは、理論上100%の文字認識が不可能であり、精度を担保するために人の目による確認や補正作業が避けられない点です。また、データの直接連携(DtoD方式)と比べると完全な自動化は難しく、導入コストに対して費用対効果が合わない可能性がある点にも注意が必要です。
詳細は「人的チェックとの組み合わせによる精度担保」をご覧ください。
※AI-OCRが向いていない企業に関する詳細は「AI-OCRよりデジタル方式(DtoD)がおすすめな企業とは?」もあわせてご覧ください。
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『BtoBプラットフォーム 請求書』チーム 編集部
この記事は、株式会社インフォマートが提供する電子請求書サービス『BtoBプラットフォーム 請求書』チームの編集部が監修しており、経理や会計、請求業務に役立つわかりやすい記事の提供を目指しています。電子請求書TIMESでは、経理・経営に役立つ会計知識、DXによる業務改善、インボイス制度・改正電子帳簿保存法といったトレンド情報をご紹介します。『BtoBプラットフォーム 請求書』は請求書の発行・受取、どちらにも対応し、業務効率化を推進します。


